=沖縄の中の日本人=

 本土の人は、沖縄は基地の見返りに振興費で潤っているとホントに思っている。原発で潤っている町を見るような認識や感覚で沖縄を見ている節がある。今でこそ反原発は声高だが、以前は周囲の自治体や他府県から羨望の眼差しで見られていた。まさに原発村は潤っていた。故橋本龍太郎総理の弟大二郎氏が高知県知事の時、「何で基地を反対するか分からない。基地のお陰で潤っているじゃないか。羨ましい。」と言った。多分、これは本土の大勢の認識だろう。地域利益誘導型経済の公共工事で、潤って来た地方の感覚からしたら、それは自然な認識になのだろう。中央省庁も日本の発展はそこにありと、その事に自負心を抱いきつつ、「結局、地方は金目」とやってきたのだろう。今でも、地方への財政移転は公共工事が多いのではないか。沖縄の基地容認派はその手の方が多い。

今に至っても、本土の沖縄の在日米軍基地問題への認識は普天間問題の1996年まで遡ることしかできない。それ以前は「エメラルドグリーンの海、星砂とシーサー」あるいは「反戦平和の島」というイメージしかない。

ところが、沖縄人の基地問題の認識はまさしく沖縄戦の、米軍の沖縄占領から始まる。沖縄の米軍は友好的で沖縄人とは仲が良く、恩恵も受けてきたと思っている沖縄人もいるが、やはり米国占領軍の植民地政策の一コマであることには変わりはない。これは世界の常識、世界史の真実であろう。アメリカはハワイやグアム、フィリピンを占領したように沖縄を占領したのだ。そして、沖縄は実にうまく硬軟を織り交ぜてアメリカナイズされてきた。そんな中でも、沖縄は言語を棄てなかったのは良かった。敗戦のドサクサの中、英語が常用語になっていたら、今頃はオキナワ州になっていたかもしれない。

終戦直後の沖縄人は日本人を強く意識していたため異民族支配を拒絶した。27年間の異民族支配に耐えて祖国に漸く復帰した。しかし祖国日本は米国の手下に成り下がっていた。その悲しみ、怒り、不信は今に生きる本土のほとんどの人達には分からない。それは「三島由紀夫」に通じる沖縄の思想であろう。ただ違うのは『昭和天皇』に捨てられたという思いである。

今の日本人は、米軍基地は異民族支配の象徴だと言うことが理解出来ない。戦前の日本人には分かることが今の日本人には分からない。「アメリカ」と掛ければ、「ディズニー」と解く、脳天気な日本人が居るだけだ。欧米との戦いを大東亜戦争と言った戦前の日本人を平気で裏切る今の日本人。その中に美しい日本人と標榜する人たちは、戦前の日本軍を賛美したかと思うと、戦後のアメリカ軍を賛美し、ついでに自衛隊も賛美する軍人オタクが多い。中国共産党の軍服オタクと戦争しそうである。

もうこれ以上米軍基地は要らない。占領軍は沖縄から出て行けと言ったら、「極左」とプロパガンダされる。踏んだり蹴ったりである。彼らは50年安保の世相から脳みそが変わらない。左翼と右翼の構図で世の中の事象を捉える。それでは、右翼の方々にお願いしたい。米軍を叩き出して欲しい。「極東国際軍事裁判」を否定するのであれば、沖縄県を始め、日本を米軍支配から解放させて欲しい。

沖縄県民、斯く戦へり』はまだ進行中で、元日本人は沖縄にいっぱいいるに違いない。日本人らしい日本人は沖縄にたくさんいる。沖縄人の方がよっぽど日本人らしい。中国脅威論を煽る日本人は、本当はアメリカが怖い。日本はアメリカの犬と言えば例えが悪い。番犬であれば、飼い主に噛みつく事もあるだろう。飼い慣らされた家猫みたいなものだ。沖縄はおろか、日本中のどの空も海も、外国軍隊の勝手気ままに出来る事を許している。日本の海も空はアメリカ合衆国そのもの、いや、それ以上。その中にいる日本人は飼い猫そのものなのだ。

沖縄からの話は単純だ。普天間基地沖縄県外に移して欲しい。ただそれだけだ。それを振興費欲しさに基地反対をしている。本当は基地のことはどうでもいい、振興費が欲しいだけだ。と本土の人は思っている。

沖縄にもそれだと思っている人は居るし、そう思って政府からお金をもらっている人もいる。基地を忍従する代わりに金を要求する自治体がいる。貰っている自治体もある。名目上、基地に関連した振興費で自治体が潤っているのは事実だ。

しかし、これ以上、そうであってはいけないと、自立経済の模索を続けているのが今の沖縄であり、これからの沖縄だ。地方の経済自立こそ日本の発展の要であり、日本を豊かにするには地方を豊かにする必要がある。それを沖縄は挑戦しようとしているのだ。振興費や特区などの施策はその為のものであって欲しい。国は軍事と地方経済のバランスを取らなくてはならない。果たして沖縄は米軍基地が多いことを俗にいう振興費は物語っている。

 

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〈 基 地 と 振 興 策 〉

 

1. 名護市における基地関係等の収入状況

 

本年2月7日、任期満了で退任する岸本建男市長は集まった職員や市民に「人口を増やし、定住条件をつくりあげる。この二つが重要だ。人口の拡大がなければどんな計画も始まらない。この点を目標にすえて頑張ってほしい」と語った。

岸本市長が条件付きで米軍普天間飛行場の代替え施設の受け入れを表明したのは、1999年12月。その前後から地域振興策の名目で名護市にマルチメディヤ館や国立沖縄工業高等専門学校(国立高専)など、さまざまな施設が建てられた。「毒を飲んでまでも地域の発展を目指したのか」岸本市長はその翌月に死去した。

名護市には、北部振興策や国立高専の設立などを含め約400億円の巨費が投入された。人口は約2,500人、新規雇用も情報関連分野を中心に100人以上増えた。

一方で市の財政指標は悪化の一途をたどる。経常収支比率が95%という硬直した財政構造である。

国への依存度は一層深まり、自立への展望は見えにくくなった。

「箱物ばかりが増えた」政府に頼りきった地域振興はいずれ行き詰まる。

2. 基地関係等の状況

 

(1) 沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業(嶋田懇談会事業)[1997年~85億4,350万円]

  ① 人材育成センター

   ア 名桜大学多目的ホール、留学生センター、総合研究所

   イ ネオパーク国際種保存研究センター

   ウ 国際交流会館

  ② マルチメディヤ館

  ③  北部学生宿舎

  ④ 花の里づくり事業

  ⑤ スポーツ整備事業

 

(2) SACO関連事業[1998年77億4,344万円]

  ① 天仁屋地区会館

  ② 底仁屋地区会館

  ③ 汀間地区会館

  ④ 安部地区会館

  ⑤ 嘉陽地区会館

  ⑥ 三原地区会館

  ⑦ 中山地区会館

  ⑧ 山入端地区会館

  ⑨ 宇茂佐地区会館

  ⑩ 豊原地区会館

  ⑪ 辺野古地区会館

  ⑫ 東江地区会館

  ⑬ 伊差川地区会館

  ⑭ 数久田地区会館

  ⑮ 久志診療所

  ⑯ 消防署久志出張所

 

(3) 名護市における北部振興策事業[2000年159億7,930万円]

  ① IT産業等集積基盤整備事業(国際海洋センター)

  ② 名護市食肉処理施設整備事業(食肉センター)

  ③ みらい1号館

  ④ みらい2号館

  ⑤ 北部会館

  ⑥ 羽地地区センター(羽地支所)

  ⑦ 辺野古交流プラザ整備事業

  ⑧ 名護市産業支援センター施設整備事業(商工会館、JA金融機関施設)

「数久田地区会館」は総事業費4億6百万円。そのうち3億円はSACO交付金で賄れた。1996年のSACO合意に基づき名護市55区のうちSACO関連の地区会館が14区もできた。国庫補助の総額は16億1千万円に上る。

辺野古区ではコミニティ施設に加え、北部振興策事業を使って辺野古交流プラザも建設中である。

6月中旬の東江地区会館の落成式で、防衛施設局の職員が祝辞を述べる姿を見て、元名護市長の渡具知裕徳さんは、復帰前の米国民政府の政策を思い起こした。

「米国は高等弁務官資金により公民館建設を進め、支配下にある住民の不満をそらそうとした。今度は、日本政府がそれと同じ事をやっている。かつての"迷惑料"から基地受け入れと引き換えに破格の優遇措置を与える側面が強くなった」と指摘した。

 

(4) 名護市食肉センター

総事業費30億円をかけて2003年に操業を開始した。名護市が北部振興策の事業を使って公設・民営型施設として整備した。ブタ15万頭、ヤギ2千頭の処理能力を備える県内有数の施設。だが、農家の高齢化や排泄物処理の基準の厳しさから、県内のブタの出荷頭数は右肩下がりとなった。施設の初年度実績も目標を大きく割り込む7万9千頭に低迷し、実質的に4千万円前後の赤字となった。

末松文信助役は、「北部の産業振興に欠かせない施設」と理解を求めているが、施設稼働率は6割前後、国の"超高率補助"に誘われた「身の丈に合わない」施設との批判がくすぶっている。

 

(5) 辺野古

移設先の辺野古区(大城康昌区長)は沿岸案の受け入れの条件闘争として、区(約460世帯)に対して、1世帯当たり1億5千万円の生活補償や地域振興策を国に求める方針を決定した。また、基地が存在する間の永代補償として、1世帯200万円を毎年の補償を求める項目に新たに付け加えた。

 

(6) 二見10区

名護市二見以北の区長らで構成する、二見以北地域振興会(会長 田畑一茂瀬嵩区長)は、移設に伴う補償金60億円を要求。基地と振興策との「リンク」に踏み込んだ。

1997年4月、海上ヘリ基地の事前調査説明に訪れた名護市長に、10区は移設反対を突きつけた。名護市はこの事から反基地感情の強かった10区に「新基地建設とは無関係」と説明し、地方交付税の基地関連経費の傾斜配分として、毎年6千万円を交付。さらに、1998年以降日米行動特別委員会(SACO)に関連する「 関係施設周辺整備助成補助事業」として9割の建設補助が受けられる公民館建設を6区が実施し、2006年度までに約4億5千万円が投入される。本年度からは北部振興策の非公共事業として、4年間で約5億2千万円をかけて「道の駅」をイメージした交流施設が計画されている。

田畑区長は「人口が減り続ける中、雇用創出につながり、観光客が足を止める拠点にもなる」と大きな期待を込める。

次々と投入される多額の補助金に、基地反対への10区の思いは、次第におさえつけられていった。

(名護市職員労働組合の論文よりの抜粋)